ことの発端は、教員をやっている娘との何気ない会話でした。
以前に作っていた「学校向けポータルサイト」があり、
そこには業務用ツールを想定したボタンをいくつも並べていました。
それを娘に見せて、ふと聞いたのです。
「このボタン群の中で、現場として本当に欲しいツールって何?」
返ってきた答えは、とてもシンプルでした。
「校務支援ツールがあると、正直かなり助かる」。
この一言が、今回のツール作成の出発点になりました。
校務支援は「思っている以上に重い」
実際に話を聞いてみると、
校務支援は介護支援とよく似ていると感じました。
・業務が多岐にわたる
・時期によって負荷が極端に変わる
・属人化しやすい
・文章力や経験値で差が出る
特に所見作成は、
「誰がやるか」で負担も質も大きく変わってしまう。
ここをどう整理するかが、
『High』を作るうえでの一番のテーマになりました。
こだわったのは「教員に文章を書かせない設計」
このツールで最もこだわったのは、
教員に文章を書かせないという点です。
先生にお願いするのは、文章ではありません。
求めたのは「観察」です。
- 提出は安定しているか
- 授業やグループでの立ち位置はどうか
- 生活面で見えている行動は何か
それを短いタグとして切り出すだけ。
文章化はAIが担当し、
最終的な判断と確定は人が行う。
「書く人」と「見る人」を分けたことで、
文章力ではなく観察力が所見に反映される設計にしました。
AIは使う。でもAPIは使わない
AIには Gemini(gem)を使っていますが、
APIを使うと便利ですが、私の作成方針としてあえて使っていません(APIを使うと従量課金の問題。モデルがアップデートされた時の諸問題があるため)。
理由は明確です。
・ブラックボックス化しない
・どこで止まっているかが分かる
・現場が「AIに振り回されない」
スプレッドシートは
状態判定とプロンプト生成まで。
AIへの貼り付けと最終確定は人が行う。
この一手間が、現場の安心感につながります。
一番詰まったのは、実は「UI」
正直に言うと、
一番時間を使ったのはロジックではなく UI でした。
- プルダウンの設計
- タグの粒度
- 触っていい列、触らせない列
- 色分けと保護範囲
Googleスプレッドシートは自由度が高い分、
設計を誤ると一気に分かりにくくなります。
「説明書なしで使えるか?」
「ITが得意でない先生でも迷わないか?」
この2点を何度も行き来しながら、
かなり細かいところまで詰めました。
教科評価「有り/無し」を切り替えられる設計
途中で出てきたのが、
教科評価を所見に含めるかどうかという問題です。
最近は「進学高校/普通高校」という言い方もしなくなり、
同じ学校でも、クラスや学年で求められる所見は異なります。
そこで、
- 教科評価無し
- 教科評価有り(点数・評定は書かない)
この2モードを、
シート上の設定一つで切り替えられるようにしました。
学校を分類しない。
必要な「所見の深さ」だけを選べる設計です。
▼教科評価無しの所見
提出物の期限を常に守り、日々の学校生活において高い時間意識を持って行動できています。集団活動では自身の役割を責任持って果たしており、周囲と協力しながら物事に取り組む姿勢はクラスでも良い影響を与えているようです。学習面でも、定期考査の結果を冷静に振り返り、間違えた箇所を分析して次へ繋げようとする前向きな改善意欲が感じられます。自らの進路についても真剣に考え始めている様子が伺え、将来の目標に向けた土台作りが着実に進んでいる印象です。今後は培ってきた基礎習慣を強みに、さらなる高みを目指して日々の学びに磨きをかけ、自らの目標達成に向けて一歩ずつ歩みを進めていくことを期待しています。
▼教科評価有りの所見
提出物の期限を常に遵守し、時間の使い方を意識して学校生活を送れています。集団の中では自身の役割を責任持って果たしており、周囲との協力体制も良好です。学習面では、国数英の主要教科を中心に粘り強く取り組む様子が見られ、定期考査の結果に対しても、間違えた箇所を丁寧に振り返り次へ繋げようとする前向きな改善意欲が感じられます。進路についても自身の将来像を真剣に描き始めているようですので、今後は培ってきた基礎力を土台に、さらなる飛躍を目指して日々の学習の質をより高め、自らの目標達成に向けて一歩ずつ着実に歩みを進めていくことを期待しています。
校務支援は「効率化」だけの話ではない
校務支援ツールというと、
どうしても「時短」や「自動化」が前面に出ます。
でも、本当に大切なのは、
- 何を人が考えるのか
- 何をAIに任せるのか
その線引きを、現場で共有できることだと思っています。
『High』は、
AIに仕事を奪わせるツールではありません。
教員の観察を、安心して文章に変換するための道具です。
※今後は、小学校、中学校、特別支援学校を作る予定です。もし、校務支援に「こんなのがあったらいいなあ」ということがあれば、遠慮なくお問い合わせくださいね笑
