はじめに
第1話から9話まで、VCSの開発記録を書いてきた。
- AIエージェントに会社を経営させるアイデアが生まれた
- GitHubで環境を作った
- CEOがロシア語を話した
- Human-in-the-loopで会社の方針が変わった
- 画面を作った
- AIがAIを採点した
- 4人全員が昇格した
- 会社に記憶が生まれた
- ダッシュボードに本物の数字が流れた
最終話では、この9週間で気づいたことを書く。
ビジネスツールを作っていたら、ゲームになった
VCSを作り始めた時、ゴールは明確だった。
スタートアップ創業者が使えるビジネスツール。
「こういう方針を取ったら、会社はどう動くか」をシミュレートできる。AIの社員たちが毎週報告して、人間は方針を決めるだけ。経営判断の練習ができる。
そのつもりで作っていた。
でも、ある日画面を眺めていたら気づいた。
スコアが上がる。レベルが上がる。ランダムイベントが会社を揺さぶる。Human-in-the-loopで結果が変わる。
これ、ゲームだ。
会社経営シミュレーションゲームとして見ると、全ての要素が揃っていた。しかも設計したわけではなく、ビジネスツールを作っていたら自然にそうなっていた。
だから、両方作ることにした
この気づきから、VCSを2つの製品として育てることにした。
ビジネス版(ライトテーマ)
対象:スタートアップ創業者、コンサルタント、経営に興味のある人
Notion・Linear風の清潔感のあるUI。青から緑へのグラデーション。「サイクル」「レポート」「意思決定」という言葉を使う。
使い方:「来月の資金調達に向けて数字を整えてください」と一行入れて、AIの社員たちがどう動くかを見る。自分の会社の意思決定プロセスをシミュレートする。
ゲーム版(ダークテーマ+演出)
対象:ゲーマー、AIに興味のある開発者、経営シミュレーション好き
元のダークテーマをベースに、ゲーム演出を追加する。レベルアップエフェクト。スコアのレーダーチャート。「ターン」「イベント」「昇格」という言葉を使う。
使い方:毎ターン指示を入れてエージェントを育てる。ランダムイベントを乗り越えて、会社を成長させる。
同じエンジン、2つの顔
重要なのは、エンジンは同じだということだ。
GASのバックエンド、Claude API、スプレッドシートのDB、Human-in-the-loopの仕組み。全部共通だ。
見た目とコンテキストを変えるだけで、全く違うプロダクトになる。
ビジネスツールとして見せれば、経営シミュレーターになる。ゲームとして見せれば、育成ゲームになる。
フレームが変わると、同じものが違って見える。
これはVCSを作る前から感じていたことだった。第1話で書いた「ノード=人間」という気づきも、同じことだ。AI Agent Builderのノードを「人間」というフレームで見た途端、会社に見えた。
フレームを変えることの力を、VCSを作りながら改めて実感した。
このツールで学んだこと
最後に、この9週間で学んだことをまとめる。
1. わからないまま進める
GitHubを始めた時、何をやっているのかわからなかった。でも手を動かした。わからなくても前に進める。
2. プロンプトは「やってほしくないこと」も書く
CEOがロシア語を話した日に学んだ。AIは指示の隙間を自由に埋める。やってほしいことだけでなく、やってほしくないことも明示する。
3. 画面があると実感が生まれる
ログで動いていたVCSが、ダッシュボードができた瞬間に「見えるもの」になった。見えると、実感が生まれる。
4. 設計した上で、驚く
全部自分が作ったのに、レベルアップのログを見て嬉しかった。仕組みを作ることと、その仕組みが動くことは、別の体験だ。
5. フレームを変えると、同じものが違って見える
ビジネスツールを作っていたら、ゲームになった。同じエンジンが、フレーム次第で全く違うプロダクトになる。
6.AIと対話しながら作る
今までのツール開発でもそうだが、AIが生成した内容がおかしければ「これは○○だよね?」「そこは○○するのがいよね?」など、1回の生成物にOKを出さない笑(実社会なら、面倒くさくて嫌われる上司だ笑)。だから、今まで作ったツールの中では、かなり長文コードになってるし、何度コードを書き直したかわからない。しかし、この経験は次につながると自負している。
VCSの開発はまだ続く
第1シリーズはここで終わり。
でも、VCSの開発は続く。
次のアップデートでは以下を実装する予定だ。
- ゲーム版UI(ダークテーマ+レベルアップエフェクト)
- 会社の株式上場(エンドゲームコンテンツ)
- マルチプレイヤー(複数の人間が同じ会社を経営)
第2シリーズとして、またいつか書く。
今まで、読んでくださり、ありがとうございました。
現状、VCSの配布は未定です。
→ note版(ショート)はこちら → 前回【第9話】:ダッシュボードに、数字が流れた → 第1話から読む
Virtual Company Studio 開発日誌 #10(完) 2026年2月 #VCS #AI #開発日誌 #スタートアップ #完結