AIに会社を経営させてみたくなった【第4話】-一行の指示で、会社が変わった — Virtual Company Studio 開発日誌- – AUL|Analyze U Lab

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AIに会社を経営させてみたくなった【第4話】-一行の指示で、会社が変わった — Virtual Company Studio 開発日誌-

はじめに

前回の第3話では、Claude APIと初めて接続した話と、CEOがロシア語を話した話を書いた。

今回は、VCSの開発で最も「これだ」と感じた瞬間の話だ。

Human-in-the-loop。

人間が一行の指示を入れると、AIの会社全体が動き方を変える。その瞬間の話だ。


Human-in-the-loopとは何か

VCSのコンセプトのひとつに、「AIが自律的に動きながら、人間が介入できる」という設計がある。

完全自動化ではない。AIに全部任せるのではなく、人間がオーナーとして方針を決め、AIたちがその方針に沿って動く。

これを「Human-in-the-loop」と呼んでいる。

ループの中に人間がいる、という意味だ。


実装:たった一行の追加

技術的な実装はシンプルだった。

CEOへの指示に、人間からのメッセージを追加するだけだ。

function ceoAgent(cfoReport, ctoReport, cmoReport, humanInstruction) {
  const system = `あなたはスタートアップのCEOです。
オーナーからの指示を最優先にしながら、
各部門への指示を300文字以内でまとめてください。`;

  const userMessage = `
【オーナーからの指示】
${humanInstruction}

【CFO報告】${cfoReport}
【CTO報告】${ctoReport}
【CMO報告】${cmoReport}

上記を踏まえて【CEO判断】を示してください。`;

  return callClaude(system, userMessage);
}

コードの変更は数行だけ。でも、効果は劇的だった。


実験1:資金調達モード

テキストボックスにこう入力した。

来月の資金調達に向けて、数字を整えてください。

ボタンを押した。4エージェントが動いた。

CEOの判断はこうだった。

【CEO判断】

CFOへ:純利益240万円の継続性を数字で示せる資料を
優先作成してください。広告費超過は投資対効果の観点で
整理し、「戦略的投資」として説明できる形に落とし込んで
ください。来週月曜までに投資家向けサマリーを提出のこと。

CTOへ:API完成80%・セキュリティ監査実施中という事実は、
投資家に対して「品質重視の開発体制」として強みになります。
遅延ではなくリスク管理の証左として資料化してください。

CMOへ:フォロワー+500・CTR2.3%は投資家訴求に使える
数字です。新キャンペーン案のMTGを前倒しし、数値目標付きの
成長ロードマップを作成してください。

会社全体が、資金調達に向けて一斉に動いた。


実験2:コスト削減モード

次に、真逆の指示を入れた。

コスト削減を最優先にしてください。
新規投資は全て凍結する方向で判断してください。

CEOの判断が、180度変わった。

【CEO判断】

CFOへ:広告費超過を最優先課題として、来週中にROI分析を
実施し、効果の低い施策を即時停止してください。
新規支出の申請は全て私の承認を必要とします。

CTOへ:セキュリティ監査は継続しますが、それ以外の
新規開発投資は一時凍結します。現行機能の安定化を優先。

CMOへ:新キャンペーン案は保留。現在の施策のROI改善を
優先してください。追加予算の申請は受け付けません。

同じ会社、同じメンバー、同じ状況。

人間の指示が変わっただけで、会社の動き方が全く変わった。


この瞬間に感じたこと

この実験をした時、VCSが何のためのツールなのかが、初めてクリアになった気がした。

スタートアップの創業者が「もし自分がこういう方針を取ったら、会社はどう動くか」を試せる。コンサルタントが「この企業にこういう指示を出したら、各部門はどう反応するか」をシミュレートできる。

あるいは、ゲームとして。プレイヤーが毎ターン一行の指示を入れて、会社を成長させる。

Human-in-the-loopは、VCSの核心だった。


WebUIの完成

この機能をブラウザから使えるようにしたくなった。

GASにHTMLファイルを追加して、WebアプリとしてデプロイするとURLが発行される。そのURLをブラウザで開くと、テキストボックスとボタンが表示される。

指示を入力して「シミュレーション開始」を押す。しばらくすると、4エージェントの報告と判断が画面に流れてくる。

CFO エージェント  [財務報告]
今週の財務報告:売上420万円/支出180万円...

CTO エージェント  [技術報告]
API開発は順調に進捗し...

CMO エージェント  [マーケ報告]
SNSフォロワーが500人増加し...

CEO エージェント  [意思決定]
【CEO判断】財務・技術・マーケ、各部門お疲れ様です...

コードを見なくていい。GASを知らなくていい。ブラウザから操作できる。


今日時点での全体像

現在のVCSはこういう構成になっている。

[ブラウザ(WebUI)]
      ↓ 指示を入力
[GAS WebApp]
      ↓ 各エージェントを呼び出す
[Claude API × 4]
  CFO → CTO → CMO → CEO
      ↓ 結果を返す
[スプレッドシート(ログ)]

シンプルだ。でも動く。


次回予告

第5話では、ワイヤーフレームの話を書く。

ダッシュボード、エージェント設定画面、シミュレーション実行画面の3画面をHTMLで作った。

特にシミュレーション実行画面は、CEOが「Claude APIが応答を生成中…」とアニメーションする演出が入っている。


→ note版(ショート)はこちら
→ 前回【第3話】:CEOがロシア語を話した日
→ 次回【第5話】:画面を作った話


Virtual Company Studio 開発日誌 #4
2026年2月
#VCS #AI #ClaudeAPI #Human-in-the-loop #GoogleAppsScript #開発日誌