AIに会社を経営させてみたくなった【第3話】-CEOがロシア語を話した日 — Virtual Company Studio 開発日誌- – AUL|Analyze U Lab

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AIに会社を経営させてみたくなった【第3話】-CEOがロシア語を話した日 — Virtual Company Studio 開発日誌-

はじめに

前回の第2話では、GitHubで環境構築をした話を書いた。コードは一行も書かなかったが、プロジェクトの土台ができた。

今回はいよいよ、Claude APIと接続した話だ。

そして、想定外の出来事が起きた。


Claude APIとの初接続

まず、動作確認のためのシンプルなコードをGASに書いた。

function testClaudeAPI() {
  const API_KEY = 'sk-ant-...';
  
  const response = UrlFetchApp.fetch('https://api.anthropic.com/v1/messages', {
    method: 'POST',
    headers: {
      'Content-Type': 'application/json',
      'x-api-key': API_KEY,
      'anthropic-version': '2023-06-01'
    },
    payload: JSON.stringify({
      model: 'claude-sonnet-4-6',
      max_tokens: 100,
      messages: [{ role: 'user', content: 'Hello! Reply in Japanese.' }]
    })
  });
  
  const result = JSON.parse(response.getContentText());
  Logger.log(result.content[0].text);
}

実行した。

ログに流れてきた。

こんにちは!何かお手伝いできることはありますか?😊

動いた。

GASとClaude APIがつながった。福祉の現場でスプレッドシートの関数を書いてきた自分が、AIと会話するコードを書いた。その瞬間、確かに何かが変わった気がした。


最初の壁:残高ゼロ

実は最初、APIは動かなかった。

エラーメッセージはこうだった。

Your credit balance is too low to access the Anthropic API.

クレジット残高が不足しています、という意味だ。

以前$5購入したはずなのに、なぜ残高がゼロなのか。原因をよくよく調べると、別のアカウントでログインしていたことがわかった。

正しいアカウントでログインし直すと、残高が表示された。USD 0.90。

たった90セント。でもテストには十分だった。

ここで一つ学んだことがある。APIキーとアカウントは必ず紐付いている。 キーを発行したアカウントと、残高があるアカウントが違えば動かない。当たり前のことだが、実際に詰まるまで意識していなかった。


4エージェントの連携

動作確認ができたところで、本番のコードを書いた。

CFO、CTO、CMO、CEOの4エージェントが連携するフローだ。

function runAgentFlow() {
  Logger.log('=== VCS サイクル開始 ===');

  const cfoReport = cfoAgent();   // 財務報告
  const ctoReport = ctoAgent();   // 技術報告
  const cmoReport = cmoAgent();   // マーケ報告
  const ceoDecision = ceoAgent(cfoReport, ctoReport, cmoReport); // 意思決定

  Logger.log('=== サイクル完了 ===');
}

実行した。

ログに4つの報告が流れた。そしてCEOが全員の内容を受けて、各部門への指示を出した。

【CEO判断】承認
営業利益240万円と堅調だが、広告費超過は放置すると
収益構造を毀損するリスクがある。CFO提案のROI低施策の
即時停止は妥当。来週中にROI計測データを共有し、
上位施策へ予算を集約。効果検証後に再配分を判断する。

AIが会社会議を再現した。

誰も操作していない。コードが呼び出しただけだ。それなのに、CFOが数字を分析して、CTOがリスクを報告して、CEOが総合的に判断した。


そして、ロシア語が混じった

感動していたその時、CFOの報告に見慣れない文字が混じっていた。

売上:420万円、支出:180万円、純利益:240万円と堅調に推移しております。
однако、広告費が予算を超過しており、早急な見直しが必要です。

однако。

「なんだ、この文字は?」
ロシア語だった。「しかし・ただし」という意味らしい。

誰もロシア語を頼んでいない。システムプロンプトに「日本語で報告してください」とは書いたが、「他の言語を使うな」とは書いていなかった。

AIは時々、こういうことをする。指示の隙間を、予想外の方法で埋める。

対処はシンプルだった。システムプロンプトの先頭に一行追加した。

必ず日本語のみで回答してください。他の言語は絶対に使わないでください。

それ以来、ロシア語は出ていない。


この日学んだこと

Claude APIとの接続でわかったのは、プロンプトは「言わなかったこと」で失敗するということだ。

「日本語で書いて」と伝えても、「他の言語は使うな」と言わなければ、AIは別の言語を混ぜてくることがある。

これはバグではない。AIは指示された範囲で最善を尽くすが、指示されていないことは自由に解釈する。

VCSを作る上で、このことは重要な設計原則になった。

エージェントへの指示は、やってほしいことだけでなく、やってほしくないことも書く。


次回予告

第4話では、Human-in-the-loopの話を書く。

「来月の資金調達に向けて数字を整えてください」と一行入れたら、4人のAIが一斉に動いた。CEOの判断が、人間の指示によって180度変わった瞬間の話だ。


→ note版(ショート)はこちら
→ 前回【第2話】:「何をやっているのかわからない」のまま進んだ話
→ 次回【第4話】:一行の指示で会社が変わった話


Virtual Company Studio 開発日誌 #3
2026年2月
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