はじめに
前回の第1話では、AI Agent Builderを作っていた時に「ノード=人間」という気づきが生まれ、Virtual Company Studio(VCS)のアイデアが誕生した経緯を書いた。
今回は、実際に開発を始めた最初の一日の話だ。
結論から言うと、コードは一行も書かなかった。
それでも、確実に何かが前進した。
GitHubという未知の領域
VCSの開発環境として、まずGitHubを使うことにした。
コードのバージョン管理、プロジェクト管理、チームでの共有。GitHubはこれら全てをカバーできる。将来的にオープンソースにすることも、有料プランで非公開にすることも選択できる。
ただ一つ問題があった。
GitHubをちゃんと使ったことがなかった。
GASでの開発はずっとやってきた。Googleスプレッドシート上でコードを書き、関数を作り、APIと連携する。でもGitHubのような「ローカル環境でコードを書いてコミットしてプッシュして」という世界は、正直なところ遠い話だった。
それでも、始めた。スマホのブラウザで。
リポジトリ作成:土地を買う感覚
github.com/new を開いた。
リポジトリ名:virtual-company-studio
概要:AI-powered virtual company simulation platform
公開設定:Private(開発中は非公開)
README:追加
.gitignore:Node
ライセンス:MIT
全部入力して「リポジトリ作成」を押した。
何をやっているのか、正直わからなかった。
でも押した瞬間、何かが生まれた感覚があった。
家を建てる前に、土地を買った感覚。まだ何も建っていないけれど、ここに建てるという宣言をした感じ。
.gitignoreの編集:APIキーを守る
リポジトリを作ると、自動的に.gitignoreファイルが生成された。
このファイルは「GitHubにアップロードしないファイルを指定するもの」だと説明を受けた。
特に重要なのがAPIキーだ。Claude APIのキーをコードに書いたまま、うっかりGitHubに公開してしまうと、第三者に悪用される可能性がある。
以下の内容を.gitignoreの末尾に追記した。
# Environment variables
.env
.env.local
.env.production
# API Keys
config/secrets.js
secrets.json
# GAS (Google Apps Script)
.clasp.json
# OS
.DS_Store
Thumbs.db
スマホのブラウザからファイルを編集して、コミットした。
「コミット」という言葉の意味もよくわかっていなかったが、やった。
フォルダ構成:部屋を作る
次に、プロジェクトのフォルダ構成を作った。
virtual-company-studio/
├── src/
│ ├── agents/ # AIエージェント定義
│ ├── ui/ # フロントエンド
│ └── api/ # バックエンド
├── docs/ # ドキュメント
├── tests/ # テスト
└── config/ # 設定ファイル
ここで一つ学んだことがある。
GitHubは空のフォルダを作れない。
フォルダを作るには、その中にファイルが必要だ。そこで.gitkeepという空ファイルを置く裏技を使った。
src/agents/.gitkeepsrc/ui/.gitkeepsrc/api/.gitkeep
意味はわからなくても、手は動いた。スマホから一つずつ作成した。
GitHub Projects:タスクボードの設定
環境構築の最後に、GitHub Projectsでカンバンボードを設定した。
Kanbanテンプレートを選択して、「バーチャル・カンパニー・スタジオ」というプロジェクトを作成。Week 1のタスクを登録した。
- GitHubリポジトリ作成 ✅
- フォルダ構成作成 ✅
- GitHub Projects設定 ✅
- ワイヤーフレーム作成(ダッシュボード)
- ワイヤーフレーム作成(エージェント設定画面)
- Claude API動作確認
- Stripe APIリサーチ
全てのタスクをバックログに登録し、完了したものを「終わった」に移動した。
この日の感想
コードは一行も書かなかった。
でもこの日、確実に何かが変わった。
頭の中にあったアイデアが、GitHubという実体を持った。フォルダが生まれ、タスクが並び、プロジェクトとしての輪郭ができた。
「何をやっているのかわからない」という感覚は最後まで消えなかった。
でも、わからないまま進める、ということを学んだ一日でもあった。
次回予告
第3話では、Claude APIと初めて接続した話を書く。
動作確認コードを実行したら、ログに日本語が流れてきた。あの瞬間の話と、その後に起きた予想外の出来事(ロシア語)の話だ。
→ note版はこちら
→ 前回【第1話】:「人」がノードに見えた日
→ 次回【第3話】:CEOがロシア語を話した日
Virtual Company Studio 開発日誌 #2
2026年2月
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