AIエージェントという言葉を聞くと、何でも勝手にやってくれる“自律ロボ”を思い浮かべる人が多いかもしれない。
でも、私が欲しいのはそこじゃない。
私が作ってきた kakanai project と 社内トランザクション診断チェックシート。
この2つは、どちらも「指示を出すエージェント」ではなく、観測するエージェントだと思っている。
結論を出さない。代わりに、流れを見えるようにする
kakanai project は、現場の記録や日々のログが、気づけば集まっている。
そして、その記録を「見返すための文字の山」にせず、温度・揺らぎ・兆候のように、観測できる形に変換して置く。
社内トランザクション診断チェックシートも同じだ。
業務の“流れ”を分解し、詰まりや輻輳、無理な迂回、SPOF(単一障害点)のような兆候を、改善策ではなく観測結果として浮かび上がらせる。
どちらもやっていることはシンプルで、
- 状態を観測する
- ズレを検知する
- 事実を場に返す
- 判断は人がする
この立ち位置が、私にとっての「観測エージェント」だ。
原点は ambient care design にある
この発想の原点は、たぶん ambient care design だと言える。
“アンビエント”という言葉が示す通り、前に出てきて操作を強要するのではなく、環境としてそこにあり、必要なときにだけ「気づける状態」を作る。
- 押させない
- 書かせない
- でも、見える
- そして、考えられる
kakanai もトランザクション診断も、実装は違っても、根っこは同じ場所にある。
この1年で、AIの使い方が段階的に変わった
この1年間、AIが一般的に使われるようになってからの変化は、個人的にかなり大きかった。
最初は多くの人と同じように、
「プロンプトで仕事を楽に」
だった。文章、要約、アイデア出し。これは分かりやすい。
次に来たのが、
「ローコード・ノーコードでツールを自作して仕事を楽に」
プロンプトは“作業”を軽くする。でも、ツールは“流れ”を軽くする。
この差は大きい。しかも一度作ると、効き続ける。
そして今、
「AIエージェント(私の場合、観測エージェント)で仕事を楽に」
という段階に来た気がする。
ただの自動化ではなく、仕事の流れそのものが語り出す環境を作る。
AIは正解を言わない。代わりに、現場と組織の“状態”を見えるようにする。
エキサイティングな1年間だった
振り返ると、この1年はかなりエキサイティングだったと思う。
AIに何かを「やらせる」方向に行くのではなく、AIを使って「観測できる環境」を作る方向に進んだのは、自分でも面白い変化だった。
そして何より、これは“便利”のためだけじゃない。
AIが普及すればするほど、生成物が増え、資料が増え、読む時間が増え、考える時間が減る。
その未来を回避するために、私は観測エージェントを作っているのかもしれない。
AIに仕事を奪わせない。
AIに判断を奪わせない。
でも、流れは見えるようにする。
この立ち位置で、もう少し先まで行ってみようと思う。
