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訪問介護の赤字は「移動費」で決まる|元管理者が実践した“要支援の生活援助”で黒字化する方法

2025年、介護事業者の倒産は176件で過去最多。中でも「訪問介護」は91件と突出して増えています。背景には、マイナス改定の影響ヘルパー不足、そしてガソリン代など運営コストの上昇がある――と東京商工リサーチは指摘しています。 (TSRネット)
さらに、2024年度から訪問介護の基本報酬が約2%引き下げられたことも、現場のしんどさに拍車をかけました。 (福祉新聞Web)

訪問介護の赤字は、だいたい「移動費」で決まります。

この記事では、訪問介護事業所の管理者をやっていた私が、毎月赤字だった事業所を黒字化するために実践した「要支援の生活援助 × 集合住宅エリア」戦略を、再現できる形でまとめます。


訪問介護の「移動費」は、ガソリン代だけじゃない

訪問介護は、サービスの性質上、必ず移動が発生します。
利用者間の距離が伸びるほど、当然コストは増えます。

ここで言う「移動費」は、ガソリン代や交通費だけじゃありません。

  • 移動時間=売上が立たない時間
  • それでも発生する 人件費(時給・手当)
  • 車両維持費、保険、駐車、細かい消耗品
  • 調整・連絡・記録の“分断コスト”(地味に効く)

移動が増えるほど、管理者の頭の中はこうなります。

「稼働は埋まってるのに、なぜかお金が残らない」
「ヘルパーさんが疲弊して辞めそう」
「空き時間はあるのに、遠くて差し込めない」

これ、放置すると本当に崩れます。TSRも、訪問介護倒産の要因として運営コスト上昇(ガソリン代等)を挙げています。 (TSRネット)


「身体介護を優先するほど経費が増える」罠

訪問介護って、つい「単価が高い身体介護」を取りにいきたくなります。
でも、これが事業所によっては罠になります。

  • 身体介護は、時間帯が偏りやすい(朝・夕が混む)
  • その時間帯に合わせて動くと、エリアが広がりやすい
  • すると、ヘルパーさんの移動が増える
  • ガソリン代も増えるし、移動時間も増える
  • 結果、「売上は上がったのに利益が残らない」

訪問介護の倒産は「売上不振」が8割超というデータもありますが、そもそも売上が立っても残らない構造になっている事業所も少なくないと思っています。 (TSRネット)

そもそも、事業所の損益分岐点を把握しているか?


私が黒字化のために選んだのは「要支援の生活援助」だった

私が管理者として移動費を軽くするためにやったこと。
それは、他の事業所が嫌がることを、あえて取りにいくことでした。

具体的には「要支援」の生活援助

訪問介護(介護予防含む)で、要支援の生活援助は、敬遠されがちです。

  • 単価だけ見ると“おいしくない”と思われやすい
  • こまめな調整が必要
  • 事業所側のオペレーションが整ってないと回らない

でも、ここに“地形”がハマると一気に化けます。

要支援の利用者は「団地・マンション」に多い(体感)

要支援の方は、比較的ADLが保たれていて、集合住宅で暮らしているケースが多い。
つまり、同じ棟・同じ団地エリアで訪問を積めることがある。

これが何を意味するか。

  • ほぼ移動が発生しない(徒歩・エレベーター移動)
  • 1日にこなせる件数が増える
  • “回転率”で利益が出る
  • 高齢のヘルパーさんも移動がラク→前任管理者の時は、毎月1~2人のヘルパーさんが退職していたが、私が管理者になってやり方を変えたら、年間の退職者が1~2人になった
  • 車移動のヘルパーさんに払うガソリン代も減る

私の現場では結果として、前任管理者時代に毎月赤字だった事業所を、黒字に持っていけました。


“仕事を増やす下準備”にもなる:地域包括とのつながり

もう一つ大きかったのが、地域包括支援センターのケアマネ(予防のプラン側)との接点です。

要支援の支援は、地域包括との連携が入口になりやすい。
ここで信頼を積むと、

  • 空きが出たときに相談が来る
  • 急なスポットにも声がかかる
  • 集合住宅エリアで“塊”として依頼が入る
  • 要支援の利用者もいずれは要介護になるから、継続支援できることでご家族も安心感がある(これは大きい)→つまり、利用者探しをする手間が省ける

要するに、エリアを固めた上で、流入経路を作れるんです。


明日から真似できる「移動費を潰す」実装手順

やることはシンプルです。ポイントは“根性”ではなく“設計”

1)まず「移動」を数字にする

  • 1週間でいいので、訪問ごとの移動分数をメモ
  • ガソリン代(or 移動手当)の月額も合算

数字にすると、だいたい上位3ケースが“犯人”です。

2)地図ではなく「塊(集合住宅)」でエリアを見る

  • 団地・マンション・集合住宅を地図にピン打ち
  • “徒歩圏で複数件いける場所”を見つける

3)「集合住宅担当」枠を作る

  • たとえば
    • Aさん:団地エリア午前固定
    • Bさん:マンションエリア午後固定
      みたいに、移動が少ない担当枠を先に作る

4)受け方を変える(回転率で勝つ)

  • 単価よりも「連続で入れるか」、または連続で入れるように契約段階で時間を決める
  • 1件だけ遠方は基本入れない(例外ルールは決める)
  • “身体介護が取れたらOK”ではなく、線でつなげる発想にする

5)地域包括への“使いやすい事業所”になる

  • 受け入れ条件を明確にする(曜日・時間・エリア)
  • 連絡のレスポンスを早くする(これ、めちゃくちゃ大事)
  • 「集合住宅エリアは強いです」と打ち出す

AI/ICTで、管理者の「調整地獄」を減らす(AUL DoX的おすすめ)

TSRも、支援策の文脈でICT導入などに触れていますが、現場は「結局、管理者が手で組む」のがいちばん重い。 (TSRネット)

なので、私はここをテコ入れ対象にします。

  • Googleスプレッドシートで「移動分数」「担当」「住所エリア(ざっくり)」を記録
  • 生成AIに、個人情報を伏せた形で
    • 「Aエリア3件、Bエリア5件、移動は最大10分まで」
    • 「ヘルパーXは徒歩中心」
      みたいな制約を渡して、シフト案を複数出す

AIは“最終決定”じゃなくて、たたき台を秒速で作る道具として使うのがちょうどいいです。
(※個人情報・住所の扱いは、必ず匿名化・共有範囲の制限をセットで。)


まとめ:訪問介護は「移動費を設計できる事業所」が生き残る

2025年、訪問介護の倒産が過去最多になったのは、マイナス改定や人手不足、ガソリン代等のコスト高が直撃しているから――というのがTSRの見立てです。 (TSRネット)
この環境で戦うなら、「単価」より先に「移動」を潰さないと、頑張るほど苦しくなります。

明日からのアクション(この順でOK)

  1. 移動分数を1週間だけ記録(まず“犯人”を特定)
  2. 集合住宅(団地・マンション)を“塊”で狙う(要支援の生活援助を入口に)
  3. 地域包括に“使いやすい条件”を提示(エリア・曜日・時間)
  4. AI/ICTでシフトのたたき台を作り、管理者の調整コストを削る

「要支援の生活援助」は、やり方次第で“弱点補強”じゃなく、事業所の収益構造そのものを変える一手になります。