事の発端:2025年の「プロンプト集」との出会い
プロジェクトのきっかけは、Googleが教職員向けに提供している資料「学校のためのプロンプト ライブラリ」でした。この資料は、AIを校務に活かすための具体的な「呪文(プロンプト)」が詰まった非常に画期的なガイドです。
しかし、この資料が配布されたのは2025年5月のこと。当時はAIモデルがGemini 2.5だった時代です。そのため、ガイド内では「良いプロンプトを作る5つの要素」の一つとして、AIに役割を与える「人物(ペルソナ)」の設定が必須とされていました。
当時の常識: 「あなたはベテランの数学教師です」といった役割を与えないと、AIの回答精度が安定しなかった。
2026年、Gemini 3.0の時代へ:ペルソナは「卒業」?
現在はGemini 3.0の時代。推論モデル(Reasoning Model)へと進化したことで、AIは指示の行間を読み、自律的に最適な思考プロセスを組み立てられるようになりました。
今のAIは、わざわざ「ベテラン教師になって」と言わなくても、タスクの内容から「教育的な配慮が必要な場面だな」と自ら推論して回答してくれます。つまり、「プロンプトを頑張って書く」という高い壁自体が、技術の進歩によって消え去ろうとしているのです。
「先生が迷わない」ポータルサイトをデザインする
技術が進化しても、ツールがバラバラでは現場の負担は減りません。そこで今回、Google サイトを活用して、直感的に操作できるポータル画面を試作しました。
- 「校種ボタン」を配置: 「小学校」「中学校」などをワンタップするだけで、AI側で自動的に対象に合わせた語彙やトーンに切り替える仕組み。
- カテゴリー別のボタン群: 案内文作成、通知表所見案、授業案作成など、よくある業務をボタン化。
現在はまだ、すべてのボタンの裏側でツールが完璧に動くわけではありません。しかし、**「ここに来れば、自分の校種に合ったAIがすぐに助けてくれる」**という体験をデザインすることこそが、学校DXの第一歩だと考えています。
今すぐできる「学校DX」の第一歩
今回作成したポータルの核となるのは、Geminiの「Gems(カスタムチャット)」機能です。
- 学校で導入されているGeminiで、「教員向けプロンプト・アーキテクト」というGemを作成する。
- そこに、最新の推論モデルに最適化した「校種判別ロジック」を覚えさせる。
- 作成したGemのリンクを、ポータルサイトのボタンに貼り付ける。
これだけで、先生方がプロンプトエンジニアリングを学ぶ必要のない、「一言相談すれば答えが出る環境」が整います。
おわりに
AIの進化は目覚ましく、2025年の「当たり前」は2026年の「古い」になっています。大切なのは、AIの高度な推論能力を、いかに「現場の使いやすさ」に落とし込むか。
このポータルサイトが、先生方が子どもたちと向き合う時間を取り戻すための一助になれば幸いです。
