WAM経営状況分析
2024年度 日中活動系障害福祉サービスの経営状況について
生活介護・就労継続支援A型・B型|赤字事業所割合の推移と黒字/赤字の分岐要因
独立行政法人福祉医療機構(WAM)は2026年7月3日、融資先の2024年度決算報告に基づき、日中活動系の障害福祉サービス(生活介護・就労継続支援A型・就労継続支援B型)の経営状況を分析した「2024年度 日中活動系障害福祉サービスの経営状況について」(資料番号2026-001)を公表した。本レポートは、この分析における中心指標「サービス活動増減差額比率」(サービス活動収益に対するサービス活動増減差額の割合で、社会福祉法人会計における実質的な営業利益率に相当する)をもとに、3サービスの経営状況を整理したものである。
1. 2024年度、3サービスで経営の明暗が分かれた
WAMの分析(同一事業所の3か年パネル)によると、生活介護のサービス活動増減差額比率は2022年度8.3%→2023年度8.2%→2024年度9.8%、就労継続支援B型は2022年度6.4%→2023年度6.2%→2024年度9.2%と、両サービスとも2024年度に改善した。
就労継続支援A型のサービス活動増減差額比率は2022年度1.8%→2023年度0.5%→2024年度△1.8%と、同じ3か年パネルで初めてマイナスに転落した。就労継続支援A型の赤字事業所割合も2022年度44.4%→2023年度45.1%→2024年度50.7%と、初めて5割を超えている。
| 指標 | 生活介護 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
|---|---|---|---|
| サービス活動増減差額比率(2024年度) | 10.0% | △0.2% | 9.1% |
| 同・前年度比変化幅 | +1.7pt | △0.9pt | +3.3pt |
| 赤字事業所割合(2024年度) | 27.3% | 48.4% | 30.4% |
| 同・前年度比変化幅 | △2.1pt | +2.8pt | △6.0pt |
| 黒字/赤字の差額比率格差 | 29.0pt | 42.7pt | 29.7pt |
生活介護・就労継続支援A型はn値の異なる同一事業所2年パネル。就労継続支援B型は平均工賃月額による報酬体系(n=1,807)
2. 就労継続支援A型は黒字/赤字の差が3サービス中最大
2024年度、就労継続支援A型の黒字事業所(n=158)のサービス活動増減差額比率は19.0%だったのに対し、赤字事業所(n=152)は△23.7%で、その差は42.7ポイントと3サービス中もっとも大きい。
就労継続支援A型の赤字事業所は黒字事業所より利用率が8.1ポイント、利用者単価が565円低く、就労移行支援体制加算(利用者の一般就労への移行を支援する体制を評価する加算)の算定率も6.4ポイント低かった。
3. 就労継続支援A型は評価点130点未満の事業所だけが2024年度に悪化
就労継続支援A型の基本報酬は、1日の平均労働時間や生産活動の実績等を総合評価した「評価点」で決まる。2024年度の障害福祉サービス等報酬改定は生産性を高く評価する内容だったため、評価点130点未満の事業所だけが取り残された形になった。
就労継続支援A型のうち評価点130点未満の事業所は、2023年度から2024年度にかけて赤字事業所割合が45.2%→56.1%へ悪化し、サービス活動増減差額比率も2.3%→△3.0%に転落した。130点未満・130点以上・150点以上・170点以上の4区分のうち、2024年度に悪化したのは130点未満のみで、130点以上・150点以上の区分はむしろ改善している。
4. 生活介護・就労継続支援B型は利用者単価の上昇が2024年度の改善要因
生活介護は2024年度、利用者単価が前年度から778円上昇した(13,717円→14,495円)。2024年度改定で新設された人員配置体制加算(Ⅰ)(利用者1.5人に対し職員1人以上を配置する体制を評価する加算)の算定率が40.4%に達したことが増収要因と考えられる。生活介護の人件費率は同時期に67.4%→65.9%へ低下した。
就労継続支援B型(平均工賃月額による報酬体系を選択する事業所、n=1,807)は2024年度、利用者1人1月当たり平均工賃が前年度から1,654円上昇した(21,929円→23,583円)。2024年度改定で新設された従業者配置6対1以上の区分の算定率が89.5%に達し、基本報酬引上げの恩恵を受けたとみられる。
経営・実務インプリケーション
- 就労継続支援A型の事業所は、評価点130点未満に該当していないかを確認し、労働時間・生産活動の評価項目を点検するとよい。
- 生活介護・就労継続支援A型・B型に共通して、黒字/赤字の差は「利用率」「利用者単価」「加算算定率」に集約される。まず自事業所がどの加算を算定できていないかを洗い出すことが有効。
- 生活介護では、重度障害者の受入れ体制(重度障害者支援加算の算定率)が黒字/赤字の分岐要因になっている。
- 就労継続支援A型170点以上は差額比率こそマイナスだが、就労支援事業増減差額・平均賃金は最高水準。差額比率だけで経営状況を判断しない。
注記・出典
- 本資料は融資先の決算報告に基づく分析であり、設立後1年未満の事業所は対象外。経常増減差額から就労支援事業増減差額を除いた金額が0円未満を赤字とした。
- 3か年パネル(p.1グラフ、生活介護n=2,153/A型n=144/B型n=1,507)と2か年パネル(図表1・4・10)はサンプルが異なる。本レポートの主要指標は2か年パネルの数値を基本とし、3か年推移のみp.1データを使用している。
- 開設主体のうち社会福祉法人の割合は、生活介護92.4%、就労継続支援A型56.1%、就労継続支援B型79.2%。
- 就労継続支援B型「一律評価による報酬体系」はサンプル数が少ない(n=99)ため、本レポートでは「平均工賃月額による報酬体系」(n=1,807)を中心に扱った。
- 本資料は情報提供のみを目的とし、借入等の行動を勧誘するものではない。見解に関する部分は原典著者の個人的所見であり、WAMの見解ではない。
- 独立行政法人福祉医療機構(WAM)経営サポートセンター リサーチグループ「2024年度 日中活動系障害福祉サービスの経営状況について」(資料番号2026-001、令和8年7月3日発行)
作成:AUL(aul-dox.jp)/生成日時: 2026-07-19 21:06
WAM経営状況分析・ダッシュボード
2024年度 日中活動系障害福祉サービスの経営状況について
生活介護・就労継続支援A型・B型|赤字事業所割合の推移と黒字/赤字の分岐要因
独立行政法人福祉医療機構(WAM)が2026年7月に公表した融資先の2024年度決算報告分析によると、就労継続支援A型は赤字事業所割合が初めて50%を超えた(同一事業所n=213、48.4%)。同年度、生活介護・就労継続支援B型はサービス活動増減差額比率(社会福祉法人会計における実質的な営業利益率に相当する指標)が改善した一方、就労継続支援A型だけが悪化し、黒字/赤字事業所の差額比率の差も42.7ポイントと3サービス中最大だった。
01主要指標
就労継続支援A型 赤字事業所割合
48.4%
▲ +2.8pt2023→2024年度、同一事業所n=213。3か年パネルでは50.7%就労継続支援A型 サービス活動増減差額比率
-0.2%
▼ -0.9pt前年度0.7%からマイナスに転落A型 黒字/赤字の差額比率格差
42.7pt
黒字19.0% vs 赤字△23.7%、3サービス中最大生活介護 サービス活動増減差額比率
10.0%
▲ +1.7pt利用者単価上昇が主因生活介護 赤字事業所割合
27.3%
▼ -2.1pt改善したが依然3割弱B型(平均工賃型)サービス活動増減差額比率
9.1%
▲ +3.3pt利用者単価上昇が主因B型(平均工賃型)赤字事業所割合
30.4%
▼ -6.0pt3サービス中もっとも改善幅が大きい02主要チャート
サービス活動増減差額比率の3年推移(同一事業所)単位:%
出典:独立行政法人福祉医療機構(WAM)経営サポートセンター リサーチグループ「2024年度 日中活動系障害福祉サービスの経営状況について」(資料番号2026-001、令和8年7月3日発行)
赤字事業所割合の3年推移(同一事業所)単位:%
出典:独立行政法人福祉医療機構(WAM)経営サポートセンター リサーチグループ「2024年度 日中活動系障害福祉サービスの経営状況について」(資料番号2026-001、令和8年7月3日発行)
黒字・赤字事業所のサービス活動増減差額比率(2024年度)単位:%
出典:独立行政法人福祉医療機構(WAM)経営サポートセンター リサーチグループ「2024年度 日中活動系障害福祉サービスの経営状況について」(資料番号2026-001、令和8年7月3日発行)
就労継続支援A型:評価点別の経営状況(2024年度)単位:%
出典:独立行政法人福祉医療機構(WAM)経営サポートセンター リサーチグループ「2024年度 日中活動系障害福祉サービスの経営状況について」(資料番号2026-001、令和8年7月3日発行)
04データから読み取れる論点
論点 A / 二極化
就労継続支援A型は評価点で経営が二極化
評価点130点未満の事業所だけが2024年度に悪化(赤字割合45.2%→56.1%)。130点以上の区分はむしろ改善しており、スコア制度への対応力が経営を左右している。
論点 B / 収益構造
黒字/赤字を分けるのは利用率・単価・加算算定率
3サービスに共通して、赤字事業所は黒字事業所より利用率・利用者単価が低く、加算算定率(重度障害者支援加算、就労移行支援体制加算等)も低い。加算取得の巧拙が収益差に直結している。
論点 C / 制度改定の影響
2024年度改定は「生産性の高い事業所」を優遇する内容だった
A型は労働時間の長い区分、B型は平均工賃が高い区分の報酬が引き上げられた。生活介護も人員配置体制加算(Ⅰ)の新設で手厚い体制の事業所が報われる設計になっている。
053サービス 主要指標の一覧(2023年度→2024年度)
| 指標 | 生活介護 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
|---|---|---|---|
| サービス活動増減差額比率(2024年度) | 10.0% | △0.2% | 9.1% |
| 同・前年度比変化幅 | +1.7pt | △0.9pt | +3.3pt |
| 赤字事業所割合(2024年度) | 27.3% | 48.4% | 30.4% |
| 同・前年度比変化幅 | △2.1pt | +2.8pt | △6.0pt |
| 黒字/赤字の差額比率格差 | 29.0pt | 42.7pt | 29.7pt |
生活介護・就労継続支援A型はn値の異なる同一事業所2年パネル。就労継続支援B型は平均工賃月額による報酬体系(n=1,807)