認知症対応型通所介護経営分析レポート
令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移
出典:厚生労働省「第17表.xls」
対象:認知症対応型通所介護/1施設・事業所当たり
単位:特記なき数値は 月額(決算額÷12)・円。比率は%。年額換算は本レポートによる×12の参考値。
有効回答数:令和3年度決算 213件 / 令和4年度決算 744件 / 令和5年度決算 197件 / 令和6年度決算 197件
エグゼクティブサマリー
本レポートは、厚生労働省「第17表.xls」に基づき、認知症対応型通所介護1施設当たりの経営指標を令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移で追跡したものである。読み取れる構造は次の点に集約される。
- 支出の伸びが収入の伸びを上回った。令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は-0.5%、支出は0.9%増加しました。 費用増が収入増を上回っており、収支圧迫要因の費目別の特定が必要です。
- 差引は黒字を維持しているが縮小した。差引は141,906円/月、収入に対する比率は5.3%です。前年度比では-20.8%減少しました。 黒字は維持していますが縮小傾向にあり、要因を早めに特定して悪化を防ぐことが重要です。
- 補助金を含む差引は前年度から縮小した。補助金を含む差引は146,827円/月で、前年度から22.5%減少しました。 本業の差引に対する補助金の規模は約4%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
費用増が収入増を上回っており、差引比率5.3%はさらなる圧迫を受けるリスクがあります。収入内訳と費用費目を分けて原因を特定し、自施設との比較を優先してください。
1. 支出の伸びが収入の伸びを上回った
令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は-0.5%、支出は0.9%増加しました。
| 科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 | R初→直近変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| 介護事業収益(小計) | 2,379,387 | 2,564,232 | 2,695,256 | 2,684,468 | +12.8% |
| 介護事業費用(小計) | 2,240,519 | 2,399,819 | 2,451,741 | 2,476,925 | +10.6% |
| 収支差額(差引ウ) | 101,428 | 109,894 | 179,245 | 141,906 | +39.9% |
| 収支差率(ウ) | 4.3% | 4.3% | 6.6% | 5.3% | +1.0pt |
費用増が収入増を上回っており、収支圧迫要因の費目別の特定が必要です。
2. 差引は黒字を維持しているが縮小した
差引は141,906円/月、収入に対する比率は5.3%です。前年度比では-20.8%減少しました。
| 指標(月額・円/%) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 収支差額(ウ・本業) | 101,428 | 109,894 | 179,245 | 141,906 |
| イ・ロ補助金計 | 4,691 | 10,044 | 10,291 | 4,921 |
| 差引(エ・補助金込み) | 106,119 | 119,938 | 189,535 | 146,827 |
| 収支差率(エ) | 4.4% | 4.7% | 7.0% | 5.5% |
黒字は維持していますが縮小傾向にあり、要因を早めに特定して悪化を防ぐことが重要です。
補助金を含む差引は前年度から縮小した:補助金を含む差引は146,827円/月で、前年度から22.5%減少しました。
本業の差引に対する補助金の規模は約4%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
3. 費用構造 ── 人件費と物価高の圧力
| 費用科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 給与費 | 1,627,297 | 1,784,639 | +9.7% |
| 減価償却費 | 85,269 | 93,472 | +9.6% |
| その他費用 | 540,785 | 618,052 | +14.3% |
費用構造では、給与費の伸び(+9.7%)とその他費用(委託費・水光熱等)の伸び(+14.3%)が並行して推移した。物価・エネルギー高騰が直接費用に波及した可能性に留意する必要がある。
4. 給与費が費用構造の中心
令和6年度決算の給与費比率は66.4%です。
| 常勤・1人当たり給与費(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 常勤換算職員1人当たり給与費(全体) | 330,189 | 331,976 | +0.5% |
| 介護福祉士(常勤) | 349,774 | 345,523 | -1.2% |
| 介護職員(常勤) | 331,240 | 341,581 | +3.1% |
| 看護師(常勤) | 390,585 | 353,440 | -9.5% |
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 給与費比率 | 68.4% | 68.1% | 65.7% | 66.4% |
単純な人件費削減ではなく、配置、稼働、加算取得、職員1人当たり指標を合わせて検討すべきです。
注意:本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
5. 規模・生産性 ── 定員・職員数に変化
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 延べ利用者数(人) | 179.1 | 186.3 | +4.0% |
| 常勤換算職員数(人) | 4.9 | 5.6 | +14.3% |
| 利用者1人当たり収入(円) | 13,296 | 14,415 | +8.4% |
| 利用者1人当たり支出(円) | 12,729 | 13,653 | +7.3% |
認知症対応型通所介護の令和3年度決算から令和6年度決算にかけて、常勤換算職員数は+14.3%変化した。収支の変動を評価する際は、この施設規模の変化と介護報酬・補助金単価・コスト構造の変化を分けて確認する必要がある。
主要指標 一覧表(月額・1施設当たり)
| 科目 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 【収支】 | ||||
| 介護事業収益(小計) | 2,379,387 | 2,564,232 | 2,695,256 | 2,684,468 |
| 介護事業費用(小計) | 2,240,519 | 2,399,819 | 2,451,741 | 2,476,925 |
| 収支差額(ウ) | 101,428 | 109,894 | 179,245 | 141,906 |
| 収支差率(ウ) | 4.3% | 4.3% | 6.6% | 5.3% |
| 差引(エ・補助金込み) | 106,119 | 119,938 | 189,535 | 146,827 |
| 収支差率(エ) | 4.4% | 4.7% | 7.0% | 5.5% |
| 【費用内訳】 | ||||
| 給与費 | 1,627,297 | 1,747,484 | 1,772,385 | 1,784,639 |
| 給与費比率 | 68.4% | 68.1% | 65.7% | 66.4% |
| 減価償却費 | 85,269 | 86,063 | 93,915 | 93,472 |
| その他費用 | 540,785 | 580,405 | 602,745 | 618,052 |
| 【収益内訳】 | ||||
| 介護料収入 | 2,258,408 | 2,403,012 | 2,519,460 | 2,507,922 |
| 利用者等利用料収入 | 120,378 | 132,767 | 154,941 | 154,035 |
| 補助金収入(イ・ロ除く) | 2,103 | 29,020 | 21,072 | 22,644 |
| イ・ロ補助金計 | 4,691 | 10,044 | 10,291 | 4,921 |
| 【人件費・処遇】 | ||||
| 常勤換算職員1人当たり給与費 | 330,189 | 330,539 | 331,976 | 331,976 |
| 介護福祉士 給与費(常勤) | 349,774 | 332,312 | 345,523 | 345,523 |
| 介護職員 給与費(常勤) | 331,240 | 313,831 | 341,581 | 341,581 |
| 看護師 給与費(常勤) | 390,585 | 395,925 | 353,440 | 353,440 |
| 【規模・運営】 | ||||
| 延べ利用者数(人) | 179.1 | 181.1 | 186.3 | 186.3 |
| 常勤換算職員数(人) | 4.9 | 5.1 | 5.6 | 5.6 |
| 利用者1人当たり収入(補助金除く) | 13,296 | 14,166 | 14,415 | 14,415 |
| 利用者1人当たり支出 | 12,729 | 13,560 | 13,653 | 13,653 |
| 有効回答数 | 213 | 744 | 197 | 197 |
経営・政策インプリケーション
- 自施設の月額収入・支出・差引比率を同じ定義で算出し、集計平均と比較する。
- 収入の増減を介護料、利用料、補助金に分け、恒常収益の伸びを確認する。
- 給与費は削減額だけで判断せず、利用者数、職員数、加算取得、1人当たり指標と併記する。
- 単年度平均だけで結論を出さず、月次推移と施設類型・規模別比較を追加する。
注記・出典
- 本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
- 各金額は決算額を12で除した月額で、表章単位未満の丸めにより内訳が一致しない場合があります。
- 年度間の差は要因の存在を示しますが、制度改定や人員配置などの因果関係までは特定できません。
- 最新年度の有効回答数は197件です。母集団への代表性は別途確認が必要です。
原典:厚生労働省「第17表.xls」
作成:AUL(aul-dox.jp)/本レポートは公的統計を分析・可視化した二次的著作物であり、数値の正確性は原典に依拠する。
生成日時: 2026-07-20 17:08