地域密着型通所介護経営分析レポート
令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移
出典:厚生労働省「第16表.xls」
対象:地域密着型通所介護/1施設・事業所当たり
単位:特記なき数値は 月額(決算額÷12)・円。比率は%。年額換算は本レポートによる×12の参考値。
有効回答数:令和3年度決算 256件 / 令和4年度決算 647件 / 令和5年度決算 317件 / 令和6年度決算 317件
エグゼクティブサマリー
本レポートは、厚生労働省「第16表.xls」に基づき、地域密着型通所介護1施設当たりの経営指標を令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移で追跡したものである。読み取れる構造は次の点に集約される。
- 収入の伸びが支出の伸びを上回った。令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は3.1%、支出は2.5%増加しました。 本業の収支改善方向は確認できますが、伸び率の差は小さく継続確認が必要です。
- 差引は相対的に安定した水準にある。差引は171,514円/月、収入に対する比率は6.3%です。前年度比では11.7%増加しました。 現時点で大きな懸念はありませんが、費用構造の変化を継続的に確認し、余力を過信しないことが重要です。
- 補助金を含む差引は前年度から拡大した。補助金を含む差引は179,867円/月で、前年度から9.9%増加しました。 本業の差引に対する補助金の規模は約5%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
収支は改善方向ですが、差引比率6.3%は厚い余力とはいえません。まず自施設の同一定義の数値と比較し、収入確保、費用増、補助金影響を分けて確認してください。
1. 収入の伸びが支出の伸びを上回った
令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は3.1%、支出は2.5%増加しました。
| 科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 | R初→直近変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| 介護事業収益(小計) | 2,518,859 | 2,645,750 | 2,638,823 | 2,718,915 | +7.9% |
| 介護事業費用(小計) | 2,391,804 | 2,522,425 | 2,445,920 | 2,509,339 | +4.9% |
| 収支差額(差引ウ) | 79,631 | 94,417 | 153,508 | 171,514 | +115.4% |
| 収支差率(ウ) | 3.1% | 3.6% | 5.8% | 6.3% | +3.2pt |
本業の収支改善方向は確認できますが、伸び率の差は小さく継続確認が必要です。
2. 差引は相対的に安定した水準にある
差引は171,514円/月、収入に対する比率は6.3%です。前年度比では11.7%増加しました。
| 指標(月額・円/%) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 収支差額(ウ・本業) | 79,631 | 94,417 | 153,508 | 171,514 |
| イ・ロ補助金計 | 7,720 | 10,465 | 10,162 | 8,353 |
| 差引(エ・補助金込み) | 87,351 | 104,882 | 163,670 | 179,867 |
| 収支差率(エ) | 3.4% | 3.9% | 6.2% | 6.6% |
現時点で大きな懸念はありませんが、費用構造の変化を継続的に確認し、余力を過信しないことが重要です。
補助金を含む差引は前年度から拡大した:補助金を含む差引は179,867円/月で、前年度から9.9%増加しました。
本業の差引に対する補助金の規模は約5%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
3. 費用構造 ── 人件費と物価高の圧力
| 費用科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 給与費 | 1,589,437 | 1,725,133 | +8.5% |
| 減価償却費 | 95,593 | 84,968 | -11.1% |
| その他費用 | 715,789 | 707,671 | -1.1% |
費用構造では、給与費の伸び(+8.5%)とその他費用(委託費・水光熱等)の伸び(-1.1%)が並行して推移した。物価・エネルギー高騰が直接費用に波及した可能性に留意する必要がある。
4. 給与費が費用構造の中心
令和6年度決算の給与費比率は63.3%です。
| 常勤・1人当たり給与費(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 常勤換算職員1人当たり給与費(全体) | 290,087 | 301,214 | +3.8% |
| 介護福祉士(常勤) | 303,894 | 328,067 | +8.0% |
| 介護職員(常勤) | 278,362 | 310,744 | +11.6% |
| 看護師(常勤) | 340,700 | 332,411 | -2.4% |
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 給与費比率 | 62.9% | 64.1% | 63.0% | 63.3% |
単純な人件費削減ではなく、配置、稼働、加算取得、職員1人当たり指標を合わせて検討すべきです。
注意:本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
5. 規模・生産性 ── 定員・職員数に変化
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 延べ利用者数(人) | 273.5 | 284.8 | +4.1% |
| 常勤換算職員数(人) | 5.3 | 5.6 | +5.7% |
| 利用者1人当たり収入(円) | 9,246 | 9,574 | +3.5% |
| 利用者1人当たり支出(円) | 8,954 | 8,972 | +0.2% |
地域密着型通所介護の令和3年度決算から令和6年度決算にかけて、常勤換算職員数は+5.7%変化した。収支の変動を評価する際は、この施設規模の変化と介護報酬・補助金単価・コスト構造の変化を分けて確認する必要がある。
主要指標 一覧表(月額・1施設当たり)
| 科目 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 【収支】 | ||||
| 介護事業収益(小計) | 2,518,859 | 2,645,750 | 2,638,823 | 2,718,915 |
| 介護事業費用(小計) | 2,391,804 | 2,522,425 | 2,445,920 | 2,509,339 |
| 収支差額(ウ) | 79,631 | 94,417 | 153,508 | 171,514 |
| 収支差率(ウ) | 3.1% | 3.6% | 5.8% | 6.3% |
| 差引(エ・補助金込み) | 87,351 | 104,882 | 163,670 | 179,867 |
| 収支差率(エ) | 3.4% | 3.9% | 6.2% | 6.6% |
| 【費用内訳】 | ||||
| 給与費 | 1,589,437 | 1,699,007 | 1,665,668 | 1,725,133 |
| 給与費比率 | 62.9% | 64.1% | 63.0% | 63.3% |
| 減価償却費 | 95,593 | 86,417 | 81,408 | 84,968 |
| その他費用 | 715,789 | 743,104 | 708,336 | 707,671 |
| 【収益内訳】 | ||||
| 介護料収入 | 2,366,307 | 2,504,213 | 2,471,807 | 2,540,527 |
| 利用者等利用料収入 | 148,569 | 121,538 | 146,252 | 150,056 |
| 補助金収入(イ・ロ除く) | 4,117 | 20,078 | 21,678 | 28,952 |
| イ・ロ補助金計 | 7,720 | 10,465 | 10,162 | 8,353 |
| 【人件費・処遇】 | ||||
| 常勤換算職員1人当たり給与費 | 290,087 | 305,750 | 301,214 | 301,214 |
| 介護福祉士 給与費(常勤) | 303,894 | 319,380 | 328,067 | 328,067 |
| 介護職員 給与費(常勤) | 278,362 | 299,066 | 310,744 | 310,744 |
| 看護師 給与費(常勤) | 340,700 | 354,454 | 332,411 | 332,411 |
| 【規模・運営】 | ||||
| 延べ利用者数(人) | 273.5 | 274.2 | 284.8 | 284.8 |
| 常勤換算職員数(人) | 5.3 | 5.0 | 5.6 | 5.6 |
| 利用者1人当たり収入(補助金除く) | 9,246 | 9,668 | 9,574 | 9,574 |
| 利用者1人当たり支出 | 8,954 | 9,324 | 8,972 | 8,972 |
| 有効回答数 | 256 | 647 | 317 | 317 |
経営・政策インプリケーション
- 自施設の月額収入・支出・差引比率を同じ定義で算出し、集計平均と比較する。
- 収入の増減を介護料、利用料、補助金に分け、恒常収益の伸びを確認する。
- 給与費は削減額だけで判断せず、利用者数、職員数、加算取得、1人当たり指標と併記する。
- 単年度平均だけで結論を出さず、月次推移と施設類型・規模別比較を追加する。
注記・出典
- 本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
- 各金額は決算額を12で除した月額で、表章単位未満の丸めにより内訳が一致しない場合があります。
- 年度間の差は要因の存在を示しますが、制度改定や人員配置などの因果関係までは特定できません。
- 最新年度の有効回答数は317件です。母集団への代表性は別途確認が必要です。
原典:厚生労働省「第16表.xls」
作成:AUL(aul-dox.jp)/本レポートは公的統計を分析・可視化した二次的著作物であり、数値の正確性は原典に依拠する。
生成日時: 2026-07-20 17:08