特定施設入居者生活介護経営分析レポート
令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移
出典:厚生労働省「第11表.xls」
対象:特定施設入居者生活介護/1施設・事業所当たり
単位:特記なき数値は 月額(決算額÷12)・円。比率は%。年額換算は本レポートによる×12の参考値。
有効回答数:令和3年度決算 438件 / 令和4年度決算 625件 / 令和5年度決算 445件 / 令和6年度決算 445件
エグゼクティブサマリー
本レポートは、厚生労働省「第11表.xls」に基づき、特定施設入居者生活介護1施設当たりの経営指標を令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移で追跡したものである。読み取れる構造は次の点に集約される。
- 収入の伸びが支出の伸びを上回った。令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は2.9%、支出は2.0%増加しました。 本業の収支改善方向は確認できますが、伸び率の差は小さく継続確認が必要です。
- 差引は相対的に安定した水準にある。差引は1,258,471円/月、収入に対する比率は5.3%です。前年度比では21.4%増加しました。 現時点で大きな懸念はありませんが、費用構造の変化を継続的に確認し、余力を過信しないことが重要です。
- 補助金を含む差引は前年度から拡大した。補助金を含む差引は1,293,201円/月で、前年度から12.0%増加しました。 本業の差引に対する補助金の規模は約3%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
収支は改善方向ですが、差引比率5.3%は厚い余力とはいえません。まず自施設の同一定義の数値と比較し、収入確保、費用増、補助金影響を分けて確認してください。
1. 収入の伸びが支出の伸びを上回った
令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は2.9%、支出は2.0%増加しました。
| 科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 | R初→直近変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| 介護事業収益(小計) | 22,019,086 | 23,488,552 | 23,065,424 | 23,781,791 | +8.0% |
| 介護事業費用(小計) | 19,484,640 | 21,003,237 | 20,252,986 | 20,706,578 | +6.3% |
| 収支差額(差引ウ) | 851,663 | 671,483 | 1,036,639 | 1,258,471 | +47.8% |
| 収支差率(ウ) | 3.9% | 2.9% | 4.5% | 5.3% | +1.4pt |
本業の収支改善方向は確認できますが、伸び率の差は小さく継続確認が必要です。
2. 差引は相対的に安定した水準にある
差引は1,258,471円/月、収入に対する比率は5.3%です。前年度比では21.4%増加しました。
| 指標(月額・円/%) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 収支差額(ウ・本業) | 851,663 | 671,483 | 1,036,639 | 1,258,471 |
| イ・ロ補助金計 | 27,479 | 31,869 | 118,478 | 34,731 |
| 差引(エ・補助金込み) | 879,142 | 703,352 | 1,155,117 | 1,293,201 |
| 収支差率(エ) | 4.0% | 3.0% | 5.0% | 5.4% |
現時点で大きな懸念はありませんが、費用構造の変化を継続的に確認し、余力を過信しないことが重要です。
補助金を含む差引は前年度から拡大した:補助金を含む差引は1,293,201円/月で、前年度から12.0%増加しました。
本業の差引に対する補助金の規模は約3%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
3. 費用構造 ── 人件費と物価高の圧力
| 費用科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 給与費 | 10,010,509 | 10,382,066 | +3.7% |
| 減価償却費 | 715,292 | 848,062 | +18.6% |
| その他費用 | 8,763,716 | 9,480,264 | +8.2% |
費用構造では、給与費の伸び(+3.7%)とその他費用(委託費・水光熱等)の伸び(+8.2%)が並行して推移した。物価・エネルギー高騰が直接費用に波及した可能性に留意する必要がある。
4. 給与費が費用構造の中心
令和6年度決算の給与費比率は43.6%です。
| 常勤・1人当たり給与費(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 常勤換算職員1人当たり給与費(全体) | 338,177 | 441,623 | +30.6% |
| 介護福祉士(常勤) | 370,704 | 411,955 | +11.1% |
| 介護職員(常勤) | 338,999 | 389,924 | +15.0% |
| 看護師(常勤) | 419,753 | 461,335 | +9.9% |
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 給与費比率 | 45.4% | 43.3% | 43.8% | 43.6% |
単純な人件費削減ではなく、配置、稼働、加算取得、職員1人当たり指標を合わせて検討すべきです。
注意:本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
5. 規模・生産性 ── 定員・職員数に変化
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 延べ利用者数(人) | 1,571.4 | 1,548.5 | -1.5% |
| 実利用者数(人) | 54.3 | 54.1 | -0.4% |
| 常勤換算職員数(人) | 28.9 | 27.2 | -5.9% |
| 利用者1人当たり収入(円) | 14,026 | 15,386 | +9.7% |
| 利用者1人当たり支出(円) | 13,484 | 14,573 | +8.1% |
特定施設入居者生活介護の令和3年度決算から令和6年度決算にかけて、常勤換算職員数は-5.9%変化した。収支の変動を評価する際は、この施設規模の変化と介護報酬・補助金単価・コスト構造の変化を分けて確認する必要がある。
主要指標 一覧表(月額・1施設当たり)
| 科目 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 【収支】 | ||||
| 介護事業収益(小計) | 22,019,086 | 23,488,552 | 23,065,424 | 23,781,791 |
| 介護事業費用(小計) | 19,484,640 | 21,003,237 | 20,252,986 | 20,706,578 |
| 収支差額(ウ) | 851,663 | 671,483 | 1,036,639 | 1,258,471 |
| 収支差率(ウ) | 3.9% | 2.9% | 4.5% | 5.3% |
| 差引(エ・補助金込み) | 879,142 | 703,352 | 1,155,117 | 1,293,201 |
| 収支差率(エ) | 4.0% | 3.0% | 5.0% | 5.4% |
| 【費用内訳】 | ||||
| 給与費 | 10,010,509 | 10,183,987 | 10,151,763 | 10,382,066 |
| 給与費比率 | 45.4% | 43.3% | 43.8% | 43.6% |
| 減価償却費 | 715,292 | 806,384 | 867,540 | 848,062 |
| その他費用 | 8,763,716 | 10,014,865 | 9,237,205 | 9,480,264 |
| 【収益内訳】 | ||||
| 介護料収入 | 10,804,115 | 10,696,110 | 10,709,519 | 11,028,026 |
| 利用者等利用料収入 | 11,213,393 | 12,741,347 | 12,303,968 | 12,687,315 |
| 補助金収入(イ・ロ除く) | 6,059 | 61,545 | 52,672 | 66,954 |
| イ・ロ補助金計 | 27,479 | 31,869 | 118,478 | 34,731 |
| 【人件費・処遇】 | ||||
| 常勤換算職員1人当たり給与費 | 338,177 | 362,437 | 441,623 | 441,623 |
| 介護福祉士 給与費(常勤) | 370,704 | 395,155 | 411,955 | 411,955 |
| 介護職員 給与費(常勤) | 338,999 | 364,767 | 389,924 | 389,924 |
| 看護師 給与費(常勤) | 419,753 | 438,206 | 461,335 | 461,335 |
| 【規模・運営】 | ||||
| 延べ利用者数(人) | 1,571.4 | 1,546.4 | 1,548.5 | 1,548.5 |
| 実利用者数(人) | 54.3 | 54.7 | 54.1 | 54.1 |
| 常勤換算職員数(人) | 28.9 | 27.2 | 27.2 | 27.2 |
| 利用者1人当たり収入(補助金除く) | 14,026 | 15,208 | 15,386 | 15,386 |
| 利用者1人当たり支出 | 13,484 | 14,773 | 14,573 | 14,573 |
| 有効回答数 | 438 | 625 | 445 | 445 |
経営・政策インプリケーション
- 自施設の月額収入・支出・差引比率を同じ定義で算出し、集計平均と比較する。
- 収入の増減を介護料、利用料、補助金に分け、恒常収益の伸びを確認する。
- 給与費は削減額だけで判断せず、利用者数、職員数、加算取得、1人当たり指標と併記する。
- 単年度平均だけで結論を出さず、月次推移と施設類型・規模別比較を追加する。
注記・出典
- 本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
- 各金額は決算額を12で除した月額で、表章単位未満の丸めにより内訳が一致しない場合があります。
- 年度間の差は要因の存在を示しますが、制度改定や人員配置などの因果関係までは特定できません。
- 最新年度の有効回答数は445件です。母集団への代表性は別途確認が必要です。
原典:厚生労働省「第11表.xls」
作成:AUL(aul-dox.jp)/本レポートは公的統計を分析・可視化した二次的著作物であり、数値の正確性は原典に依拠する。
生成日時: 2026-07-20 17:08